例えば、毎日毎日、一生懸命練習していてコンクールなどに臨んだとします。
予選はきちんと練習して間違いなく弾けたら通ることが多いでしょう。
コンクールに向けて何時間も練習している子たちが集まって本選に臨んだ時、
どこで審査員は判断するのでしょうか。
それは、ソルフェージュ力だと思っています。
私の指すソルフェージュとは、正確なリズム感や旋律を歌う力などの技術的なことと、
その曲の楽式の理解や、作曲家の思想や歴史背景に至ります。
それら全ての深い理解が曲に反映されます。
例えば、フォルテと書いてあるから大きく強く、ピアノと書いてあるから小さく弱く
ではありません。そこにはなぜフォルテなのか意味があるのです。
旋律を歌う時は、音の持つエネルギーの方向性があります。
どこに向かってエネルギーが動いているのか、また集まったエネルギーがどこで解放されるのか。
曲は細胞がうごめく一つの生命体です。
フォルテにもいろんな意味があるのです。ピアノも同様です。
では、これら全てのことを、例えば小学生がどこまで理解しているのか?
といえば、本人次第なのでこちらはわかりません。笑
しかしですね、演奏には、本人が指導者に言われた通りにただ模倣してきたという
演奏と、自発的に感じ表現している演奏とでは、聴く人によっては違いがわかります。
審査員の先生たちは、ここら辺をちゃんと見ていると思います。
私は、その子がどれくらいピアノが好きで弾いているのか、心から感じているのか
わかります。それは、あまり技術は関係ありません。
ピアノが好きで独学でピアノを弾いていた子が、体験でジブリの曲を弾いたとき
鳥肌が立ったことがありました。
彼女の持っている感性がとても純粋で、ピアノを弾きたい気持ちがよく伝わってきたからです。
まずはそこが大事かな、と思います。
音楽を感じる心があれば、自然に歌うことができるし、ピアノの前でずっと弾いてたいと思うのです。
練習しないともちろん弾けるようにはなりません。
練習しただけ上手になります。
しかし、ただ指導者や親に言われた通りにするだけでなく、
ちゃんと、自分の心で感じてほしいのです。
自分の心で感じていれば、聴く側にも伝わります。
私は、そんなみんなの心を守り、育てていきたいと思っています。
大切なのは心です。
演奏には、心が反映されますからね。